BahnCardの更新費を払い忘れるとどうなるか

ドイツ鉄道(Deutsche Bahn)には、年会費を払えば鉄道代が25%, 50%, 100% OFFになるBahnCardという会員制度がある。特に25% OFFのものはコストパフォーマンスがよく、27歳以下なら1回長距離移動するだけで元が取れるので短期間滞在者にもおすすめ[1]。しかし注意しなければいけない点があり、このBahnCard、何もしないと契約が自動更新される。解約したい旨を電話やメールで伝えないと翌年のカードと振込用紙が勝手に届くシステムである。

ここ半年ほど忙しくて鉄道で遠出していなかったこともあり、更新費の振込、というよりBahnCardを持っていること自体をすっかり忘れていた。さらに悪いことに、ここ4ヶ月は日本出張が度々あって家を空ける期間が長く、ポストを開けるという習慣すら失っていた。ということで、更新費の振込を忘れて催促にも気が付かないとどうなるのか、実際に体験した。

結論を言うと、弁護士や裁判所から警告を受けることになる。まず弁護士事務所から更新費と延滞料を請求する手紙が届く(ドイツ鉄道が委託している?)。何通か催促の手紙が届いた後に、それらに応じなければ裁判所から封筒が届く。この封筒は他の郵便物に比べて紙質・書体ともに特別感があり、ドイツ語が読めなくてもすぐに封を切るべきだというのが伝わってくる。恐る恐る中を開けてGoogle翻訳にかけてみたところ、"court"の単語が見えて驚愕する[2]。どうやら留守の間に2通届いていたようで、1通目は弁護士事務所から裁判所あてに請求の申し出が届いていることの通達、2通目には具体的な期限が書かれており何かしらアクションを取らないとヤバいよと書いてある。それにも気が付かなかったので、さらに弁護士から最終警告を受け取った。この時点でようやくすべての手紙に気が付いたので、その日のうちに慌てて銀行に駆け込んで諸々の費用を振り込んだ。更新料・延滞料・事務手数料・裁判にかかる費用で当初のBahnCard更新費の約5.5年分を弁護士に支払ってなんとか事なきを得た。

心配だったので振込の後に弁護士事務所に確認の電話をかけてみた。英語で話しかけたところドイツ語でしか取り合ってくれないのでドイツ語が話せる同僚に通訳をお願いした。聞くところによると、振込が確認でき次第対応する、ドイツ鉄道および裁判所とのやりとりは弁護士がすべて代理で行ってくれる、罪に問われる心配はない、ということだった。手紙のドイツ語が読めなかったからといってアクションを起こせなかったことは言い訳にはできないから、今後は注意するようにと繰り返し厳重にお叱りを受けた。この一件が起きたのが3週間前で、それから毎日ポストを開けて確認しているけど以後連絡がないのでおそらく解決したと思う。

ドイツで働き始めて2年経ってもこうしたトラブルが絶えないのでときどき心折れそうになる。ちなみにこちらの写真は2年前の5月に受け取った封筒。「住み始めたばかりなのにいきなりレッドカードとか詰んだ...」と思ったらただの広告だった。紛らわしい!


  1. 学割・年齢による割引・キャンペーンなどによって値段が異なる ↩︎

  2. courtはテニスコート・裁判所なんて訳をまさか日常生活で使うと思ってなかった ↩︎